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I歯科医院の高楊枝通信。

I歯科医院の高楊枝通信。

1回で終わる根管治療(歯髄壊死症例)

この記事は今までの歯科医学の常識を超えたものなのでフリーページにアップしておきたい。
例えばこういうところだ。
1、無菌性歯髄炎で歯髄壊死に陥る原因
2、歯髄壊死していない部分をどうやって保存するのか?

ーー
外傷性咬合のトラブル7.2(食いしばりによる歯髄壊死)
https://plaza.rakuten.co.jp/mabo400dc/diary/202404130000/

40代女性、左上7、外傷性歯髄壊死、自発痛++

前回のつづき

https://plaza.rakuten.co.jp/mabo400dc/diary/202404110000/

歯髄が死んでしまうというのはほとんどの歯科医師は細菌感染によるものと思っているが、そうではない場合もある。
この症例はそうだ。天蓋を除去して歯髄を見てみたが、細菌感染特有の腐敗臭はしなかった。

また上行性の歯髄炎と言って歯周病の場合はこれがあると言われているが、根尖口から細菌が侵入して、根部歯髄から腐敗していき、最後は冠部歯髄が腐敗すると信じられているがこれも嘘だ。
根尖付近が壊死すると同時に冠部歯髄も壊死するはずだからだ。

実際に経験するのだが、最初に壊死するのは根部歯髄ではなく冠部歯髄だ。
この症例はそうだ。

抹消である冠部歯髄が最初に壊死する理由は血流が何らかの原因により滞るからだ。

冠部歯髄の毛細血管に血栓等が詰まってその周囲から虚血性の壊死が起こると考えるのが理論的だ。
心筋梗塞や脳梗塞と同じだ。
僕は歯髄梗塞とか歯髄塞栓症と呼んでいる。

この歯髄梗塞の原因となっている血栓は食いしばりや歯ぎしりと言った咬合性外傷により根尖付近の血管が損傷を受け、この時に発生すると考えるのが合理的だ。

実際に天蓋を除去して冠部歯髄を見てみたので時系列で見てみよう。


咬合面からダイアモンドバーでアクセスする。この時もそうだが、一切麻酔は使っていない。
麻酔をしてしまうと歯髄が生きているかどうかのセンサー代りに患者の知覚を使えないからだ。


天蓋に達する直前


天蓋に達したところ。冠部歯髄が生きていれば出血するはずだが、しない。
髄腔内部は伽藍堂だ。冠部歯髄はほぼ全部死んでいる。


超音波スケーラーのエンドチップで根管を洗浄しながら生きている部分を探っている。
痛みがあればまだ歯髄は生きているということだ。
歯科医学の常識的には有り得ないことをしているので、一般の歯科医師には何が起こっているのか理解できないと思う。

通常は最初に麻酔をしてしまうので、歯髄が部分的に生きているかどうかなど考える歯科医師はいない。
何も考えずに神経を取る処置を始めてしまうのだが、生きている部分があればその歯髄を保存することは可能だ。たぶんほとんどの歯科医師は初めて見る画像だろうと思う。


近心頬側根に光っている部分が見えるが、この歯髄は生きている。


拡大画像だが、近心頬側根に赤黒く光っている充血した歯髄が見えると思う。冠部歯髄は死んでいても根部歯髄の一部または全部が生きていることはよくある。
直接見えないが、遠心頬側根の1/3は生きていたが、口蓋根の歯髄は全部壊死していた。

1回目の3MIX+α-TCPによる根管充填だ。α-TCPは精製水で練る。
痛みのある生きているところまでエンドチップを出し入れしながら充填する。緊密に充填する必要は全くない。
少しでもα-TCPがあれば独りでに根管は埋まっていく。


余分な水分は綿球で押さえる。


2回目の3MIX+α-TCPによる根管充填は固まるように50%クエン酸水で練る。


綺麗にして


CR充填して終わる。


世界中の100%の歯科医師は何が起こっているのか理解できないだろうが、これは事実。
歯髄を全部にしろ部分的にしろ保存することは可能だし、

神経を取る処置よりも遥かに容易だ。
数分で終わる。

悪用されるのが怖くなる程だ。

痛みがあっても、壊死していても、神経を全部取る必要はないということが分かると思う。
感染していても同じだ。
抗生物質等のなかった100年前ならいざ知らず。
現在ではわざわざ歯の寿命を短くしてしまう抜髄をする必然性はない。

ではなぜ世界中の歯科医師は神経を取って冠を被せるのか?
それしか習ったこともないし、それ以外のことはできないし、してみようとも思わない。

頑なにそう思い込んでいるのだ。


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